ラブホテルというと、大人のカップルのお楽しみの場所というイメージ。しかし同時に「掃除が適当で汚そう」「怖い人が関係してそうで危ない」といったネガティブなイメージや噂が尽きませんよね。
様々な噂が飛び交うラブホテル業界ですが、実際にはどうなのでしょうか。
噂の真相を確かめるなら、実際にラブホテルに行って確かめてくれば良いのでは…?そう考えた編集部は、新宿歌舞伎町のHOTEL STELLATE(ホテル ステラート)に潜入取材することに。
STELLATEの代表取締役の大谷哲鎬さんの協力のもと、普段は見ることのできないラブホテルの各オペレーションルームの裏側に潜入!噂についても徹底的にヒアリングしてきました。
目次
- 噂1:部屋に監視カメラがあって盗撮されている?
- 噂2:掃除は適当で不潔。物品の洗浄も適当で使い回している?
- 噂3:ラブホテルは怖い人が経営している?
- 風俗店と連携しているホテルの見分け方
- ひと部屋16,800円!プレミアムスイートのお部屋に突入!
噂1:部屋に監視カメラがあって盗撮されている?
編集部:いきなりですが、部屋に監視カメラはあるのでしょうか。実は盗撮されているのではないか?という噂をよく聞きます。
オーナー大谷哲鎬さん(以下大谷):
部屋に監視カメラは付いていません。一般的にそういうイメージがついてしまった理由として、AVの影響があるのかもしれませんね。うちのホテルだけではなく、他のホテルも付いていないでしょう。まず聞いたことがありません。
犯罪や不正を防止するための防犯カメラは設置してあります。STELLATEのカメラは、現金を取り扱うフロント、廊下、エントランス、3つの店舗出入り口と従業員用出入り口に設置しています。
大谷:映像はハードディスクに常時録画しており、リアルタイムでもフロントと、事務室のモニターに映しております。
録画の保存期間は3~4週間ほどで、古いデータから順に新しい映像に書き換えられてゆきます。保存データですが、警察から捜査協力の要望があった場合は、必要に応じて提供する場合もありますね。
大谷:ホテルの性質上、不特定多数の人が出入りします。また、私どものホテルは入室後の外出が自由なため、お客様がより安全に過ごせるようセキュリティには最新設備を取り入れています。
客室玄関の扉、廊下の階段、駐車場の出入り口など、お客様が出入りした時にセンサー等でフロントへ情報を伝えるようになっています。それにより少数のスタッフでもお客様の動きに合わせて迅速に対応できるようにしています。
噂2:清掃は適当で不潔。物品の洗浄も適当で使い回している?
編集部:「タオルは使用後のものを使いまわしているのでは?清掃に使ったタオルをまた出しているのでは?」という噂も多いようです。清潔感は気になるところです。
大谷:タオル類はすべてビニールで包装し、使ったかどうか分かるようにしています。ビニールが破れていたらどんなにきれいな状態でも「使った」と判断してすべて交換。回収したタオルは、すべて専門のリネン業者にクリーニングをお願いしています。
清掃は清掃用のウエスタオルを使用している
編集部:「清掃で使用済みのバスタオルを使う」という噂もあります。
大谷:雑巾代わりにバスタオルを使うこともありません。清掃は「ウエスタオル」を使っています。ウエスタオルとは消耗や劣化、生地の破れなどでリネンサプライとして利用できなくなったお客様用タオルを再利用した清掃用のタオルです。
使用後のタオルを雑巾に使えない理由
大谷:清掃で使って食べ物の油やボディオイル、アロマオイルなどを大量に吸収してしまうと、回収先のクリーニング工場で油や汚れ、ニオイが落ち切らない場合もあります。また、乾燥機で発火する恐れがあり火災事故を起こしかねません。
お客様や取引先にご迷惑をお掛けすることになるので、タオル類で清掃するのは厳禁としています。
本来ホテルのタオルは、用途として大量の油を拭き取るものではありません。クリーニング工場でも大量の油汚れを洗浄する前提にはなっておりません。こういった油汚れを落とす場合、工場では専用のラインにて別方法でクリーニングをおこないます。
こういった理由から、業者の方も信頼しているホテルとしか良い条件で取引をしてくれません。清掃オペレーションの徹底は、そういう意味でも大事です。
髪の毛1本も見落とさない。使用感をとにかく残さないのが清掃のポイント
編集部:ラブホテルの部屋ってパッと見きれいでも、何をしているかわからない感じがどうしてもついてまわりがちです。清掃のポイントは何でしょう。
大谷:他人の髪の毛って、ものすごく不潔感がでますよね?できるだけ使用感が残らないように、床に落ちている髪の毛1本1本にも気を遣います。
お風呂の清掃も、洗剤でひととおり洗った後、水滴が残らないようにウエスタオルで全て拭きあげます。いくら綺麗に清掃していたとしても床が濡れていると、何か気持ち悪いでしょう?
洗面台のコップもすべて回収して洗浄。ホテルによっては清掃の人が部屋の洗面台の水でさっと手洗いして終わり、というとこもあるかもしれません。
きれいに見せるための「魅せる清掃」を徹底的にやる
大谷:清潔感は「いかに綺麗に見せるか、見せる清掃」が肝なんですよ。
「見せるとは」たとえば
- ティッシュペーパーやトイレットペーパーの先をきちんと三角折りにする
- アメニティ類やリネンを包装して綺麗に並べる
- スリッパやリモコン類・テレビの向きやごみ箱、インフォメーションやメニュー類の位置を整える
- 浴室のシャワーや椅子を使いやすいようにセッティング
- ベッドのセットを美しく整える
など。
いかに「お客様の視覚に入った時に美しく、気持ちよく見えるか」まで気を配って、向きや配置を考えます。見せるというか「魅せる」と言った方が良いかもしれませんね。
短時間の清掃を少ないスタッフで回すと、どこかで手抜きをせざるを得ません。そうなると、きめ細かい清掃や、見せる部分にこだわることができないのです。
臭い対策も万全!
大谷:最近では嗅覚への対応もおこなっております。清掃時は次のお客様へ煙草の臭いなどが残らないようにオゾン脱臭機を使用していますね。
また、全室にパナソニック社製の天井埋込型ナノイー発生機を設置。電源を入れるとアロマが香るランプを一部導入したり、禁煙ルームを4部屋設置したり。
ロビーにも100%天然成分にこだわったアロマディフューザーを設置して、1ヶ月ごとに時節に合わせて香りを換えています。ホテルでお客様に「非日常」を感じて過ごしていただくためには、目に見えないこだわりも大切です。
「非日常」の演出がおもてなしの哲学!スタッフ教育も徹底
大谷:これらの対策すべてが、うちの清掃・おもてなし哲学でもあります。清掃にかかるコストをカットしすぎると実行するのは難しいです。
コストには人件費のコストもありますが、理念や哲学を教えてゆく教育のコストもあります。弊社ではこれらのルールを徹底させたうえで、必ず最低限2人ペアで清掃にあたるようにしています。
排水溝からクーラーの部品の中まで!とにかく清掃は徹底的に行う
大谷:休憩清掃のほかにも、毎朝必ず行う「本清掃」というのがあります。この時は掃除機など基本清掃に加えて、お風呂の壁もすべて洗剤で洗い、浴室の排水溝の中まで丸洗いしますね。
その他にも、「特別清掃」というのがあります。その時は、布団やベッドの裏側まですべてクリーニング。冷蔵庫や換気扇、クーラーも部品をばらして徹底洗浄しています。
大幅に汚れたものはすべて交換
大谷:ベッドが濡れたり、汚れがひどい場合はシーツ交換だけでは間に合いませんので、ベットパットや敷布団ごと交換します。万が一のために、予備のマットレスも常備していますよ。
噂3:ラブホテルは怖い人が経営している?
編集部:怖い人が経営しているという噂についてはどうでしょうか。
大谷:うーん、それはラブホテルが歌舞伎町などの繁華街に多くあるのが少なからず影響していますかね?
郊外やロードサイドにもホテルは多くありますが、怖いと思うのは歌舞伎町など繁華街のイメージがそう思わせているんじゃないでしょうか。
怖い人の経営はないとは言いませんが、実際は少ないと思いますよ。怖い人が経営するのは何もラブホテルに限った事ではないですしね。
それに営業するためには守らないといけない法律もあります。
ラブホテル営業は法律に定められた条件をクリアしないとできない
大谷:ラブホテルには旅館業法で営業する新法ホテルと、風営法の届け出をする4号営業ホテルの2つがあります。警察や保健所、消防署などに届出や許可をもらわないと営業できません。
旅館業で営業する新法ホテルの場合
厚生労働省の所管する法令の順守はもちろんのこと、各都道府県知事の許可を受ける必要がある。
旅館業法施行令で定める構造設備基準に従わなければならない。また、都道府県の条例で定める衛生基準に従わなければならない。
風営法4号営業ホテルの場合
- 営業する各都道府県の公安委員会に性風俗関連特殊営業の店舗型性風俗特殊営業4号営業の届出をしなければならない。
それ以外でホテルの営業許可に必要な物
消防庁の消防法令適合通知書の交付。
施設の規模や営業状態により消防計画の届出・防火管理者選任届・防災管理者選任届の提出。
飲食の提供や深夜の酒類提供には食品衛生責任者の届出や飲食店営業許可書の交付。
そもそも、法律など違反したら営業停止や許可の取り消しになりますし、最悪逮捕起訴されることも。
そうなるとお客様にも大変なご迷惑をお掛けする事になり、信用を失い売り上げが一気に落ちてしまうでしょう。経営もままならなくなり、大切なスタッフの家族を路頭に迷わすことにもなりかねません。
ですので、ラブホテルを営業されているほとんどが一般の真面目な人であり、営業のためにこれだけの法令と条例を守っている良識のある人々です。
噂の出所は、遊び慣れていない人が風俗でトラブルを起こしてしまうから?
編集部:ここまで法律面をしっかり守って経営しているのに、どうしてそのような噂が出てくるのでしょう。
大谷:怖い人が経営している店は風俗がらみかな?遊びなれてない人が、怖い人の営業するデリヘルやホテヘルなど無店舗型風俗店に騙されたとか。
無店舗型風俗店がサービスの提供場所としてレンタルルームやホテルを利用することがありますが、中には無店舗と言いながら実際はレンタルルームやホテルを不法に運営している場合があります。
そういった場合はホテルといっても接客やサービスの質が最悪なことも。
ホテルとレンタルルームは全くの別もの!
大谷:そもそも風俗店が違法に経営するホテルとは、ほとんどがレンタルルームです。レンタルルームは休息や仮眠を目的とした利用に限らず、実際は性行為を目的とした利用があリます。
ホテルヘルスなどの無店舗型風俗店のサービス提供場所として利用されているケースが多く、ホテルとは性格が異なり、宿泊はできません。
ラブホテルは土地を取得するにも借りるにも営業するためには莫大な費用がかかります。無店舗型風俗店のビジネスモデルからいっても採算が合わないはず。あったとしてもそれはたまたまホテルの事業をすでに持っていた場合ではないでしょうか。
ラブホテルを普通に利用していて怖い思いをするようなことは基本ありませんよ。
ホテル運営の組合も全国にある
大谷:またホテルの運営をしている人の多くは、レジャーホテル関連の組合や各都道府県にある旅館組合などに所属し、勉強会を開催したり情報交換を行うなど業界の発展のために常に努力をしています。
時には関係省庁や政治家の方と意見交換を行うことも。
私も一般社団法人日本レジャーホテル協会 東日本ブロックの青年部と東京都ホテル旅館生活衛生同業組合の青年部に所属しております。協会に所属しているとよくわかりますが、加盟されている店舗は法律を遵守してビジネスとして健全に運営しています。
「進化型ラブホテル」ではなく「レジャーホテル」
大谷:このような高い意識を持ったオーナー達が経営しているホテルを、最近では「進化型ラブホテル」と呼ぶ人もいます。しかし、我々はあえて「レジャーホテル」と意識して呼んでいます。
ラブホテルは昔のイメージであるひと時の情事を行うための場所だけではなく、映画を見て過ごしたり、広いお風呂やサウナ、岩盤欲でセルフエステを楽しんだり、美味しいお酒と料理を楽しんだり…。
好きな時に大切な人と素敵な時間を過ごして頂けるように、上質な空間と良質なサービスの提供に努めています。非日常を感じてゆっくりと過ごして頂くレジャー施設としてのホテルへ進化したのです。
皆さんもぜひイケているラブホテルをレジャーホテルと呼んで下さい。
風俗店と連携しているホテルの見分け方
編集部:先ほど「風俗がらみのレンタルルーム」とありましたが、健全なホテルと見分ける方法はあるのでしょうか。
大谷:健全なホテルの見分け方は4つ。
- レジャーホテル協会に加盟している
- notte、ハピホテ、カップルズ、ステイラブリーなどの検索サイトに掲載され、且つ予約サービスをおこなっている
- 清潔感があり、シーツや布団などリネン類が充実している
- 食事やアメニティなどサービスが充実している
風俗店と連携しているホテルは、ホテルの運用コスト削減のため、清掃やサービスに手をかけないようにしています。そのため清掃は基本1部屋1人だったり、備品は申し訳程度だったりします。あと部屋が異様に暗かったり狭かったり。
また、notteなどのネット媒体や大手出版社の雑誌やムック本に広告を出しているということは、広告費を払ってでもホテルに集客をしたい、ホテルビジネスで売り上げを上げたい、という意思の表れです。
あとは当然のことですが
- お部屋が綺麗で設備の故障がない
- アメニティーやその他のサービスが充実している
- 接客などスタッフの対応がしっかりとしている
なども、信頼の置けるホテルであると言えます。
以上の点を知っていれば、悪質なホテルに出会うことはほとんどないでしょう。
編集部:いろんな噂についてのご丁寧な解説ありがとうございました。
一部屋16,800円!プレミアムスイートのお部屋に突入!
裏側だけでなく、最上級ランクの部屋「プレミアムスイート」のお部屋も見せてもらいたい…ということで、大谷さんに案内してもらいました。
アパレル関係にも強い商業建築デザイナーにブランディングしてもらい、クラシックモダンのおしゃれなラウンジのイメージに改装。意外にもラブホテルらしさは少なく、気取りすぎないラグジュアリー感が。
寝る時に、スマホの充電をしたいというニーズに応え、電源、USBポートはベッドの左右両端に完備!充電器もあらゆる機種のものが貸し出し可能。
本革ソファー。合革とは違う存在感。
お風呂はテレビ付き。ムーディーなライトアップあり
ホテルの醍醐味と言えばお風呂。ライトアップ仕様はむしろラブホテルっぽい(お風呂に入る時間がなかったため、別室のイメージ写真で)。
オーバーヘッドシャワー。3つのシャワーヘッドで、広範囲にお湯を浴びられプチ贅沢気分に。
女性のポイント稼ぎはアメニティで決まる!
何かと物入りなのが女性。宿泊となると、あれがないこれがないと「我慢」することが多くなりがちなので、アメニティの取りそろえは特に大事です。
シャンプー、スキンケア用品をチェックすると国産のオーガニックブランド「GemiD(ゼミド)」が!
なお、諸事情により「お家のシャンプーと同じでないと嫌」「シャンプーの香りでバレると困る」というお客様には、市販シャンプー数種類の貸し出しも行っているとのこと。シャンプー貸し出しサービスを取り入れているホテルもだいぶ増えたのだそう。
ドライヤー、ヘアアイロンは美容室仕様
ドライヤーの風力が弱い、というのもホテルあるあるですよね。こちらの取り扱いドライヤーは美容室で使っているものと同じ。つまり一般家庭のドライヤーよりもハイスペックなのです。
ドライヤーの横には、ヘアアイロンのストレート用と巻き髪用の2種類。これも女性が喜ぶポイントです。
コスプレのレンタル、販売もあり!男女で人気の品は分かれる
ラブホテルらしいサービスと言えば、やはりコスプレのレンタル。女性に人気のものは販売の売れ行きもかなり良いのだそう。ちょっぴりセクシーで普段づかいができそうなものが女性に人気です。
一方、男性に人気なのはナースやメイド服、バニーガールなど、「分かりやすい」もの。非日常感って大切ですよね。
食事メニューは7店舗から宅配可能!焼肉からハンバーガーまで実に豪華!
ホテルの敷地面積と、歌舞伎町という立地条件の良さと出入り自由のシステムから、こちらのホテルでは食事はほとんどが宅配サービス。
豪華な焼肉酒家 李苑の焼肉弁当。これは今すぐにでも食べたい!
洋食メニューや…
ピザ、ハンバーガーもあり!
ココイチのカレーも!
デザートや無料朝食サービスも付いてくるのだそう。注文はテレビ画面のメニューから可能で、スタッフと電話での会話をしなくて済むのも人気の秘密。
国立府中など郊外エリアのホテルになると、一流シェフが料理を振る舞ってくれるところもあるのだとか。
VOD、youtubeなど動画見放題。wifiの完備!
お部屋の暇つぶしに役立つのが、VODやyoutubeなど動画のサービス。こちらももちろん無料で見放題です。
これだけそろっていれば、カップルだけでなく普通の旅行や出張でも使い勝手が良さそうです。2人利用と考えれば、スイート価格も決して高くはありませんね。
今回は歌舞伎町のラブホテルということもあり、利用時間は入室から最大13時間のフレックスタイム制など、を取っているとのことでした。理由は、サービス業の方の利用も多く、消費者の生活のスタイルも多様化してきているため、あえて時間を固定しない方が使いやすいから。
レジャーホテル(ラブホテル)業界は、各ホテルのオーナー達がそれぞれ工夫を凝らして、業界全体のイメージアップに取り組んでいるとのことで、今後もどんどんサービスのレベルは上がっていきそうです。
今後のレジャーホテル業界に注目していきたいですね。
【取材協力】
HOTEL STELLATE(ホテルステラート)
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-11-1
ルーム数:20室(禁煙ルーム4室)
駐車場:4台
ラブホ・ラブホテル予約サービス | Buona notte(ボナ ノッテ)
HOTEL STELLATE写真集
(image by HOTEL Stellate)
(image by nanapi編集部)
(image by PIXTA 12)