マンガ「ゴルゴ13」や「ルパン三世」、推理小説や映画などで時々耳にする「スイス銀行」。なぜスイス銀行ばかり登場するのでしょうか?そもそも実在するのか調べてみました。
スイス銀行という銀行は存在しない
「報酬はスイス銀行の口座に…」というセリフ、マンガや映画の世界では定番ですが、実は「スイス銀行」という名称では実在しません。
あえて言うなら、スイスに本店のある銀行は、全てスイス銀行なのです。一般的には、個人銀行家が経営する富裕層向けのいわゆる「プライベートバンク」をスイス銀行と呼ぶことが多いのです。
ではなぜ、スナイパーやマフィアなど、フィクションの世界に登場するダークヒーローが決まってスイス銀行を振込先に利用しているのでしょうか。
その秘密は、スイスの法律にありました。
守秘義務が厳しいスイスの銀行法
スイスの銀行法では、顧客情報に対して厳格な秘匿義務が課せられています。銀行員が守秘義務に違反すると、高額な罰金刑や禁錮刑に処せられると定められており、秘密の保持が厳重に保たれています。
また、スイスの銀行には「ナンバーアカウント」という匿名口座を開設できる制度があり、顧客名を使わずに口座が管理される仕組みになっています。
こうした制度により、極めて秘密性の高い金融取引ができることから、資金洗浄に利用されやすいという特徴があります。
実際の犯罪に使われた例も
スイス銀行はフィクションの世界だけでなく、実際にも不正な資金の預け先として利用されたことが幾度となくあります。
有名な例では、フィリピンのフェルディナンド・マルコス元大統領が関わっていたとされる不正蓄財事件で、スイスの銀行が闇資金の預け先となっていたと言われています。
犯罪が立証されれば秘密は破られる
しかし、いくら顧客の秘密を守るスイスの銀行といえども、全ての取引が公にならないというわけではありません。顧客が犯罪に関与していると法的に立証されれば、資金が凍結されることも過去にありました。
特に近年は、マネーロンダリングに対する国際的な規制が強化されており、スイスの銀行も秘匿性に関して、従来ほど強固な対応を取ることは減ってきていると言われています。
ちなみに日本人でもスイスの銀行に口座を持つことが可能です。ただし、プライベートバンクのサービスを利用するには、億単位の残高が必要だと言われています。もしそれくらいの余裕のある方は、どうぞご検討ください。
(image by amanaimages12)